時間:理科二科目で150分。従って、単純計算では一科目当たり75分です。大問は3つあり、それぞれ、色々な単元からの10問程度の出題から構成されています。これを大問一つ当たり25分程度で解く計算になりますが、各大問ともいくつかのトピックスや実験についての長文が複数与えられかなりボリュームがあるので、理科全体を見ながら適切に時間配分しましょう。
得点配分:理科二科目で120点。従って、生物の配点は60点の計算となります。上述のように一つの大問に様々な単元からの出題が含まれ、また年度によってその単元ことの出題数の割合も異なりますが、「生命現象と発生」に関するものと「動物・植物の生活・生態・進化など」に関するものとでは概ね同程度の比重か、やや前者が多めな感じです。
設問形式:
・生物の問題全体は3つの大問から構成されています。大問は基本的に2~3問程度の中問に分かれ、それらがまたいくつかの小問から成っています。各大問ともいくつかのトピックスや実験についての長文が与えられます。
・大問ごとに出題の分野が異なるという訳ではなく、一つの大問の中に動物・植物の反応に関するもの、それにかかわる生命現象や物質に関するものや進化に関するものなど色々な分野の長文が混ざり、全体が一つのトピックスに関する一連の研究のようになっています。このように、東大の生物は出題形式がかなり特殊なため、必ず過去問を解いて慣れておきましょう。
・各小問は、記述式(用語の説明など)、論述式(現象の理由や、実験結果の予想を1~2行程度で記述。実験方法を考えさせるものなども出題されています。普段から簡潔に説明することに慣れておきましょう。与えられた語句を使った作文なども有りますので、重要な用語はしっかり理解しておきましょう。)、記号選択式(特に与えられた文の正誤を判断させるものなどが多い)、空所補充など、様々な形式で出題されています。
傾向:
・生物の生活と環境や進化、系統などから広く出題されていますが、特に、動植物の反応や進化に関する出題は多いようです。
・或る程度(教科書レベル)の用語の知識は必要ですが、知識を詰め込むことよりも、実験から現象を解析する推理力や、応用力などが要求される問題が多いです。
方法:
・刺激に対する動植物の基本的な動きについて理解する。
(動物の走性(走光性、走化性、走熱性など)、植物の動き(屈性や傾性)についてはよく確認しておきましょう。特に、植物の動きとそのメカニズム、ホルモンとの関係などについてはしっかりと理解しておきましょう。)
・進化・系統は、発生とセットで理解。
(2020年度の大問3では、進化・系統と発生を関連付けて考察させる問題が出題されています。発生は進化過程の再現でもありますので、進化・系統を学習する際には発生と関連付けながら理解していきましょう。)
・遺伝子等の分野で良く取り上げられる生物などはチェックしておく。
(東大の生物の問題は色々な分野が複合されて構成されていますので、例えば、植物や動物の反応等の問題に関しても、遺伝子の解析が進んでいるシロイヌナズナ(ゲノム解析が終了していて、遺伝子の働きのことなどが、全ての植物の中で一番良く調べられている)や線虫(細胞数が1000個程度と少ない)などのモデルが出題されることが有ります。その他、植物ではイネ、マメ科の植物、アサガオ、動物ならショウジョウバエやマウス、ウニ、メダカなども、モデル生物としてよく調べられています。どのような動植物が研究でよく使われているかについてもしっかりチェックしておきましょう。)
・図録や動画を活用。
(動植物の種や系統の名称などは、文字を眺めているだけではイメージが湧かないし覚えにくいので、なるべく図録の絵や写真などを見ながら視覚的に、できるだけその特徴やトピックスなどと関連付けて覚えていくようにしたいです。)
他言無用の最終兵器:
・進化について考えてみましょう。
(2020年度の大問3では、進化・系統、それらと密接に関連する発生についての問題が出題され、進化および系統に関するいくつかの仮説について考察させる問題が出ています。また、2019年度の大問3では、進化についての学説と遺伝に関して考察させる出題があります。このような出題に対応するためには、やはり自分で一度、「どうしてこのような動植物が出現してきたか?それを確かめるにはどんな観察や実験をしたらよいか?」など、ダーウィンの進化説なども参考に、進化について色々と思いを巡らせておくのがよいでしょう。)