時間:理科二科目で150分。従って、単純計算では一科目当たり75分ですが、まずは、選択する二科目の全問に目を通して計6つの大問の中で、解けそうな問題に十分な時間をかけられるように時間の配分を考えましょう。
得点配分:理科二科目で120点。従って、物理の配点は60点と思われる。(共通テスト:110点、二次試験:440点)
設問形式:
・3つの大問から構成されています。大問は、更に3つの中問に分かれ、それらがまたいくつかの小問から成っています。従って問題の分量としてはかなり多いです。(試験時間は、単純に計算すると大問1問あたり25分となりますが、まず全体を見渡して、解ける問題を十分時間をかけて丁寧に解けるよう時間配分を考えましょう。)
・各小問は、記述式、論述式、空所補充、記号選択式など、様々な形式で出題されています。
傾向:
・主な出題分野は、力学、電磁気学、熱力学、原子などです。
・全般的に難解な問題ではなく、基本をしっかり理解していれば解ける問題が多いようです。
(複雑な公式を覚えることよりも、教科書に出てくる基本的なもの、特に運動方程式、運動量保存則、エネルギー保存則などを十分理解して適切に使いこなせるようにしておくこと、そして、その物理現象・運動を直感的にイメージできるようにしておくことが重要です。)
・知識よりは、考え方、応用力が問われる問題が出題されています。
(問題のテーマとして取り上げられている現象自体は初見のものであったとしても、問題の流れに従って、物理的な考え方で丁寧に追っていけば解答につながっていくので、慌てずに取り組みましょう。)
方法:
・基礎をしっかり理解し、使いこなせるようにしておきましょう。
(教科書に出てくる基礎的な事項は抜けが無いようによく整理し、その全容が俯瞰的に見られるようにしておき、いつでも適切な知識を取り出してそれを使いこなせるようにしておきましょう。)
・物理的な考え方に慣れる。
(基礎ができたら、色々な良問に当たって、物理的な考え方に慣れておくことが大切です。「考え方」を身につけるのが目的なので、ただ沢山の問題に当たればよいということではなく、良い問題を、しっかり理解するよう丁寧に解いていくことが重要です。難問や特殊な知識を求めるような問題にばかり当たって、すぐ答えを見たり、それを丸暗記したりすることにはあまり意味がないでしょう。)
・計算力も必要。
(問題量が多い分、計算も速く正確にできるよう、日頃からよく練習しておく必要があります。文字式の計算はもちろん、数値計算を求められる問題も多々ありますので、普段から計算に慣れておきましょう。そして、文字などの見落としやプラスマイナスの間違いなどのようなウッカリミスには十分に注意しながら、正確に計算していきましょう。)
・学習の進め方にも注意。
(学校の授業や参考書も、大体、力学、波動、熱力学、電磁気学、原子など、順番に学習していくようになっていますが、それに従って受験までの期間で全体が終わるような学習計画を立てると、最後の方がおろそかになったり、最初に勉強した力学を忘れてしまったりします。東大の物理の問題は、そのような分野ごとの知識で完結するものではなく、電磁気学や原子の分野からの出題であっても、実際には総合的な知識や考え方、特に力学的な理解を問われるものが殆どです。すべての分野において、運動方程式、運動量保存則、エネルギー保存則などの基本事項を自在に使いこなせるようにしましょう。従って、基本的な問題集などで、入試の半年くらい前までには一旦、一通りの学習を終えて知識をマッピングし、それから、全体を俯瞰的に見られる状態で、入試の過去問などの問題集をランダムな順番でいろいろ分野を取り混ぜながら解いていくのがよいでしょう。)
他言無用の最終兵器:
・ディメンジョンに注意。
(式の両辺で単位があっているかどうかをよく確認しながら、計算を進めていきましょう。複雑な計算を行っていると、途中でウッカリ、質量のmや長さのlが消えていても気づかないことがあります。式の両辺で単位が合っているかどうかをいつも意識しながら、丁寧に計算を進めていきましょう。例えば、2021年度の大問1のⅡなど。)