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東京大学へ行けば

東京大学へ行けば

方程式・不等式・領域

時間:100分

 

得点配分:80点 (共通テスト:110点、二次試験:440点)

 

総論

文系理系で一部または全部が共通の大問以外については、比較的取り組み易い問題が多いです。

 100分で4問なので、単純計算すると1問25分ですが、全問完答することは考えず、取れそうな問題を見つけて25分にこだわらず落ち着いて丁寧に取り組み、完答はできなくても部分点は確実に取っていくようにしましょう。

従って、まずは、どれを後回しにして、どれから取り組むかの見極めが重要です。イメージ的には、5~6分程度考えても全くアイデアが浮かばないようなら取り敢えず飛ばし、次の大問に移った方が良いでしょう。飛ばした問題も、後からもう一度見直すと、新しい視点に立ててアイデアが出てくることもあります。

 どの大問にしても完答するのは簡単ではないですが、各大問の最初の方の小問は比較的解き易いので、部分点は確実に取っていきたいです。また、基本的にはその小問の考え方が後ろの小問のヒントになっていますので、そのポイントを見逃さないことが大切です。問題の本質を見抜き、素直に誘導に従っていくと自然に解答につながっていく問題が多いようです。

 

方法

・まずは、当然ですが、問題をよく読み理解することが重要です。しかし、一読しただけでは何を言っているのかよく分からない問題も多いので、問題文を読む際には、ポイントやイメージを計算用紙にメモしながらたどっていくことをお勧めします。パラメーターの範囲など、文中にサラッと書いてあることが重要なポイントになることも多いので、読み飛ばしに注意しましょう。例えば、或るパラメーターの範囲に関して何パターンもの面倒な場合分けをしながら苦労しているとき、ふともう一度問題文を読むとサラリと「正の数」などと書いてあったのを見落としていたりすることもあります。また、例えば、線分ABを直線ABと読み違えたことで範囲が違ってしまったなどのミスも起こり得ます。本番では焦って見落としたり読み間違えたりするリスクも増えますので、より慎重に読んでいくことが大切です。

 

・うっかりミスに注意しましょう。移項時の符号の変化など、基本的なところを慎重に進めて下さい。普段は慎重な人でも、難問に気を取られていると、意外に、油断して単純なところでうっかりミスをすることがあります。焦らず、一回で決めるつもりで丁寧に解き進めていきましょう。とはいえ、もちろん、時間の許す限り何度も見直しを行うことも大切です。

 

・大問の最初から順番に解いていってもなかなかヒントを見つけられない場合は、大問の最後の問いまで先読みしてストーリーを予想し、改めて前の小問に戻ってみるというのも有用でしょう。ただし、通常は、設問の誘導に従って順番に解いていくことで出題者の意図が理解できて正しく解けるようになっているので順に解いていくのが基本であり、先読みを誤って間違ったストーリーに陥らないように注意する必要があります。

 

・基本的に、高度なテクニックだけを要求する問題はなく、発想力、思考力が問われる問題が殆どなので、むやみやたらに難しい問題を沢山解けばよいという訳ではありません。まず、教科書に書かれていることを十分に理解して自在に使いこなせるよう、しっかりした基礎を作りましょう。その上で、東京大学や京都大学などの過去問を解くなど、良質な問題をこなしましょう。或る程度数をこなすことは必要ですが、解けない問題に当たってすぐ正解を見るのでは、一時的に解ったような気になるだけで考える力は身につきません。解答のコツをつかむためには、一問一問じっくり考えながら丁寧に解いていくことを心がけましょう。

 

 

□微分

 微分に関しては、増減表を使って関数の概形を調べなければならない問題が毎年のように出題されていますので、基本的な関数の導関数の求め方や増減表の扱いは今一度しっかりと確認しておきましょう。また、極限など扱いも、解答を論理的に作成する上で必要になってきますので十分に理解して使えるようにしておく必要があります。

 

□図形

平面図形の問題については、出題の本質に気がつけば比較的簡単に解き進めていけるものも少なくありません。それに気づくためには、一つの考えにこだわらず、計算用紙を活用して色々なイメージを描きながら、様々な視点で眺めて試行錯誤することが大切です。最初の小問は比較的簡単に解けることが多いですが、それがヒントになっているので、それをどのように利用すればよいかを考えながら解き進めていきましょう。

 

□数列・整数・場合の数・確率

数列・整数に関する問題では、文系理系で一部または全部が共通の難度の高い問題が度々出題されています。そして、それらに組み合わせて場合の数・確率を求めさせるものも多く、取っ付きにくく、なかなか解答への道筋が見つけ出せないものもあります。しかし、ヒントは問題文中に有るはずなので、何度も問題文を読み返し、そして、式を眺めるだけでなく、ともかく最初の何項か実際に具体的な数字を代入して地道に計算し、その中で法則性を見つけていきましょう。例えば、2020年度の大問4では、2の累乗の組の中からいくつかを選び出した積の、総和を項とする数列によって定義される何とも複雑な関数についての出題があり、式をパっと見ただけではどう扱ってよいか手が止まってしまいます。この問題では、実際に式中のnやkにいくつかの数字を順に入れて計算をしてみると、与えられた式を係数とする多項式に気が付いて解答の方針を立てることができるでしょう。また、2022年度の大問4も、一読しただけでは何を意味しているか悩みますが、いくつかのkについて実際に計算してみると、これが120度ごとに異なる3方向に向くベクトルであることが分かります。そして、最初の何回かの試行について場合の数を計算して規則性を見つけられれば、それを、表などを使って適切に整理していくことで解答にたどり着くことができます。

 

□方程式・不等式・領域

方程式・不等式や領域に関する問題については、当然ですが、まず落ち着いて問題文の意味をよく理解しましょう。一見複雑な式であっても関数自体はそれほど特殊なものは出ていないので、丁寧に解いていきましょう。三角関数、指数・対数関数など、教科書に出てくる基本的な初等関数についてはしっかりと理解し、使いこなせるようにしておくことが必要です。特に、各関数の方程式が解けるだけではなく、それぞれの関数のグラフのイメージを把握しておくこと、そして、与えられた関数に対し、その導関数を求めて増減表を作って概形を把握したり、判別式を活用して条件を満たす範囲を求めたりすることが自在にできるようにしておくことは重要です。実際、2022年の大問1や大問2、2021年の大問1、2020年の大問1や大問3など、増減表や判別式を活用して、与えられた関数が条件を満たすためのパラメーターの範囲を求めなければならない問題は毎年のように出題されています。また、解析的に解き進めようとしてもなかなか答えに辿り着けそうにない問題でも、図を描きながら丁寧に解いていけば往々にして答えが見えてくりことがありますので、計算用紙は存分に活用しましょう。ただし、2021年度の大問3など、答えが見えても、それを論理的に説明するのが少々厄介な問題も多いので、解答を丁寧に作る練習もしておく必要が有ります。答案用紙にいきなり書き出さずに、まず、計算用紙に草案を書いてから、答案を作成していきましょう。もちろん、草案は丁寧に作る必要はなく、解答のイメージを整理していくための、論理の流れをたどれる程度の簡単なフローで十分です。

 

 

ポイント

 計算用紙を駆使しましょう。まず、問題を読む際には、計算用紙に、問題文中のキーとなる文言やイメージをメモしていきましょう。そして解答を考える際には、問題を眺めながら頭の中で考え込んでいるより、思いつくままに計算用紙にいろいろと書きなぐる方がアイデアを出しやすいことも多いので、計算用紙を活用しましょう。答案を作る際にも、まず、計算用紙に大まかな論理のフローを書いて整理してから書き始めることで、自分が書きたいことをより明確にすることができるでしょう。